アドビが先日、Photoshopの最新版2024年7月リリース、バージョン 25.11を発表しました。
新ツール「選択ブラシ」ツールから要望の多かった「ディテールの強化」まで、Photoshopベータ版から一般バージョンになった機能を含め、知っておきたいPhotoshopの新機能6つをご紹介します。
注目したい新機能は6つ
およそ3か月前の前回アップデートから新しく追加、強化された主な機能は以下の通りです。
最新バージョンPhotoshop 25.11ではどのようなことができるのか、詳しく見ていきましょう。
- より柔軟に範囲を決める「選択ブラシ」
- 写真加工が直感的にできる「調整ブラシ」
- 画像をよりくっきりシャープに「ディテールを向上」
- 「箇条書きリスト」と「番号付きリスト」
- コンテキストタスクバーが使いやすく(シェイプと変形)
- 最新Adobe Firefly Image 3による「画像を生成」
- その他の新機能
1.より柔軟に範囲を決める「選択ブラシ」
新しくフォトショップに追加されたツール「選択ブラシ」は、その名前からわかる通りブラシで選択範囲を指定できます。
フリーハンドで選択範囲を決める「なげなわ」ツールがありますが、もっと大きな違いは不透明度の調整ができるようになったこと。
実は画像生成にとても便利なんです。
試しに二つのツールによる画像生成の仕上がりの違いを比較してみます。
まず従来のなげなわツール。お好みの範囲を丸で囲み、選択範囲を指定しました。
コンテキストバーより「生成塗りつぶし」をクリックし、ここでは「シャチ(英: Orca)」と入力してみます。少し待つとできあがったのがこちら。


次に新しい「選択ブラシ」ツールで試してみます。オプションバーより不透明度を「42%」に変更し、こちらも丸で囲んで選択範囲を指定します。

先ほど同じプロンプトを入力し、生成塗りつぶしを行った結果がこちら。きらきらと輝く水面の特徴をうまく捉えたイラストになりました。


さらに面白いのが、不透明度を変更するとイラストの出来も変わるということ。
たとえば同じプロンプトを使い、不透明度のみ変更したときの比較がこちら。背景の質感をうまく参照しているのが分かります。



以前紹介した生成塗りつぶしで写真を水彩画風に仕上げる方法とまさに同じテクニック。
ブラシの硬さも調整できるので、よりシームレスな写真合成ができるようになります。
クイックマスクモードを利用することで半透明の選択範囲を指定していましたが、これからは選択ブラシツールのみで行うことができますね。
2.写真加工が直感的にできる「調整ブラシ」
Photoshopのベータ版で使いやすいと好評だった「調整ブラシ」ツールが、一般バージョンに搭載されました。個人的にもお気に入りの最新アップデートのひとつ。
以下のサンプル例のように、ツールパネルより「調整ブラシ」ツールを選択し、写真加工したい部分をブラシでなぞるだけ。プロパティパネルが表示されるので、あとは微調整すれば手早く加工できます。
コンテキストタスクバーより「新しい調整を追加」もできます。調整の種類は「トーンカーブ」や「レベル」、「明るさ・コントラスト」など調整レイヤーと同じ。オプションバーまたはコンテキストタスクバーより変更可能。

3.画像をよりくっきりシャープに「ディテールを向上」
こちらもベータ版に実装され、ユーザーの要望が多かった機能のひとつが、ついに一般バージョンに登場です。
この機能は、生成AIの最大の弱点である「高画質画像の生成ができない」問題への解決策になるでしょう。
たとえば、以下では「浴衣」を着た女性を「白シャツ」で画像生成したところ。パッと見ると問題なさそうです。


しかしズームで女性に近寄ってみると、生成された領域はぼんやりしているのが分かります。
ここで生成バリエーションの左上にある「ディテールを向上」をクリック。すこし待つと、あら不思議。ぼやけていた部分がくっきりシャープになっています。


画像生成でデザインが決まったら「ディテールを向上」で仕上げ、と覚えておきましょう。
4.「箇条書きリスト」と「番号付きリスト」

文字ツールを利用するときに、箇条書きリストと番号付きリストを作成できるようになりました。
「段落」パネルの左下より切り替え可能。またプロパティパネルで、他のリストスタイルに変更することもできます。

5.コンテキストタスクバーが使いやすく(シェイプ・変形)
ワークフローで最も関連性の高い次のステップを表示する「コンテキストタスクバー」。シェイプと変形時により使いやすく改善されました。
シェイプを選択しているときは、「塗り」や「線」のカラーと太さ、丸みを調整できます。これまでオプションバーで設定していたのが、より手早く修正できそう。

画像変形時には、時計回りや反時計回りに回転したり、水平、垂直方向に反転しやすくなっています。


6.最新Adobe Firefly Image 3による「画像を生成」
こちらもベータ版からの実装となりますが、注目はAdobe Firefly Image 3を使っている点。
「デザインアイデアが思いつかない」そんなときに、空白のキャンバスに「テキストから画像生成」機能を試してみましょう。
作成したいものについてプロンプトを入力し、好みのスタイルや効果を設定するだけで、何もないところからデザイン全体を作成できます。

真っ白のキャンバスを開いた状態で、コンテキストタスクバーより「画像を生成」ではじめましょう。
メインメニューの「編集」より「画像生成」、またはツールバーに新しく追加されたアイコンからも開始できます。
試しに「人気のない熱帯のビーチの眺め」とサンプル用プロンプトを入力したところ…


コンテンツタイプを「写真」にすることで、本物と見間違うほどリアルな仕上がりの画像を、ほんの数十秒で生成してくれました。すごいぞ、フォトショップ。
生成する画像に「参照画像」や「効果」といった、スタイルを追加することも可能です。


ただしPhotoshop版とFireflyウェブ版では、ある特定の条件では全く異なる仕上がりとなったため、うまく使い分けしたいところ。
画像の生成に関しては、前回ベータ版の新機能の紹介でも詳しく触れています。そちらも参考にどうぞ。
その他の機能強化・アップデート
- 「個々の調整」- 色調補正パネルの一番上に「個々の調整」が新しく追加。あまり利用しないが、写真加工のときに。
- 「ジェネレータープラグイン」 – これまでファイル/生成/にあった画像アセット機能が、ファイル/自動処理/ジェネレータープラグインに移動。ただし現在利用できないバグが発生中?
フォトショップ新機能を使ってみた感想
今回はベータ版からの移植が中心でしたが、どれもおどろくほど簡単に利用できる機能ばかり。
特に画像生成AIツールはたくさんありますが、商用でも安心して利用できるライセンスは仕事になるほど便利と痛感。「ディテールを向上」すれば、画像がぼやけることもありません。
今後がますます楽しみになってきました。
フォトショップを持っていない人は、まずは7日間の無料トライアルからはじめませんか。すべての機能を試すことができ、期間中にキャンセルすれば解約手数料は一切かかりません。
参考文献・記事
- 機能の概要 | Photoshop デスクトップ版(2024年7月リリース)
- 2024年7月、PhotoshopとIllustratorがアップデート。新機能に加え生成AI機能が強化
- Photoshop(Beta)デスクトップ版
アドビだからストック素材サービスも ここまでクリエイティブ。
Adobe Stockは、アドビがクリエイターのためにつくったストックサービスです。写真やイラストなど高品質な素材が約3億点。無料素材も100万点。
検索、プレビュー、ライセンスの取得をPhotoshopから直接できるので効率の良さが抜群。
たくさんのAdobe Creative Cloudユーザーに選ばれているのには理由があります。
最初のひと月は素材が10点まで無料なので、気軽に始めてみませんか。
